文法とスタイルの規則のオプションを選択するには
日本語テキストが選択されている場合、既定では文書のスタイルは[通常の文]が選択されています。ほかには[くだけた文]、[公用文]や3つのユーザー設定が用意されています。[Word 環境設定]の[文章校正]タブの[文書のスタイル]の横の[設定]ボタンをクリックすると[文章校正の詳細設定]ダイアログボックスが表示されます。ここではスタイルの規則のオプション選択方法、およびその設定について説明します。
はじめに
日本語テキストを選択もしくは日本語の文字列内にカーソルが存在した状態で[Word 環境設定]ダイアログボックスの[文章校正]タブを開くと、既定では文書のスタイルは[通常の文]が選択されます。
ちなみに、英語テキストを選択もしくは英語の文字列内にカーソルが存在した状態で[Word 環境設定]ダイアログボックスの[文章校正]タブを開くと、既定では文章のスタイルは[Grammer]が選択されます。
ここでは、日本語テキストにおける文法とスタイルの規則のオプションの選択方法、およびカスタマイズ方法について説明します。
文法とスタイルの規則のオプションを選択する
日本語の文章校正で使用できる文書の既定のスタイルには、次の種類があります。
文書のスタイル | 説明 |
---|---|
くだけた文 | メールや私的な文書の作成を想定した緩めの校正基準 |
通常の文 | 一般的な文書の作成を想定した校正基準 |
通常の文(校正用) | 正確さが重視される文書を作成する際の厳しめの校正基準 |
公用文(校正用) | 公用文を作成する際の厳しめの校正基準 |
ユーザー設定1 | ユーザー設定用 文書のスタイルを独自に作成するときに使用します |
ユーザー設定2 | |
ユーザー設定3 |
友人への手紙を書く場合は、[くだけた文]を選択するとよいでしょう。「食べれる」や「すごい感動」といった、「ら」抜きなどの口語表現が校正対象外になります。
[文法設定]ダイアログボックスで設定変更する
[Wordのオプション]ダイアログボックスの[文章校正]タブにある[設定]ボタンをクリックすると、[文章校正の詳細設定]ダイアログボックスが表示されます。このダイアログボックスで設定変更することができます。
規則 | 説明 |
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誤りのチェック | |
入力ミス | 不自然な日本語ではないかと思われる個所です。既定では「普通」が選択されています。選択オプションは[チェックなし][少なめ][普通][多め]の4種類です。選択レベルによって稀な言葉や表記、くだけた表現についてもチェックされることがあるので、問題がなければ「無視」してください。 |
同音語誤り |
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誤り語・誤り表現 | よく間違って使われる表記や表現です。なかには誤用が定着しつつある単語もありますが、日本語に厳格な人にとっては気になる表現ともいえます。 あるいはユーザー辞書に校正用の要チェック語として登録されている語です。 例 : 願わくば→願わくは 帰らさせてください→帰らせてください |
仮名遣いの誤り・ 旧仮名遣い | 仮名遣いが誤っているか、旧仮名遣い(歴史的仮名遣い)です。特に「じ」と「ぢ」、「ず」と「づ」の使い方に注意してください。仮名遣いは「現代仮名遣い」(昭和61年、内閣告示)に基づいてチェックしています。 例 : もとずいて→もとづいて わづか→わずか |
表現の推敲 | |
くだけた表現 | 「ら」抜き、「い」抜き、「の→ん」などをチェックします。話し言葉では多く用いられますが、書き言葉ではくだけた表現と考えられています。 例 : 食べれる→食べられる 見えてる→見えている すごい嬉しい→すごく嬉しい |
助詞の連続 | 同じ助詞が2つ以上連続しています。「の」の場合には3つ連続しています。 例 : 委員会が詳細事項が遵守されていることを審査する。 |
重ね言葉 | 同じ意味の言葉が二重に現れており、冗長な表現と取られることもあります。一部はすでに認められているものもありますが、必要ならば片方を削るか、置き換えるとよいでしょう。 例 : 馬から落馬した |
当て字 | 当て字は、漢字本来の意味と関係なく音・訓だけを借りて用いたり、意味だけを借りたりした語です。なかには慣用的に用いられている語もあります。 例 : 流石に→さすがに |
副詞等の呼応 | 「決して~ない」のような、呼応するべき表現が抜けていると推定されます。 例 : もし…ですが、→もし…ならば |
あいまいな表現 | 「ように」を否定形と共に用いたり、「および」と「または」が並列したりすると、論理的にあいまいになりえます。 例 : いつものように譲れない状況だ。 |
「が、」の多用 | ひとつの文中に、接続助詞の「が、」が2つ以上あります。間違った日本語ではありませんが、多用しすぎると、しまりのない表現になるといわれています。 例 : 本件についてですが、~再確認したいのですが、~ |
連用中止形の多用 | ひとつの文中に、連用中止形が2つ以上あります。 間違いではありませんが、むやみに文をつなぐと、悪文になりやすいこともありますので、注意が必要です。 例 : 注意を喚起し、~再発を防ぎ、~ |
二重否定 | 二重否定と思われます。修正を要するものではありませんが、一般に二重否定が頻出すると悪文になりがちといわれています。 例 :わからないような気がしないでもない。 |
文語調 | 文語調と思われます。修正を要するものではありませんが、対象によっては、文語調が頻出すると、読みにくくなることもありえます。 例 : 決断せねばならない |
受動態 | 受け身と思われます。受動態自体は悪いものではありません。ただし頻出すると、翻訳調になったり、すっきりした文章でなくなったりするともいわれています。 |
表記の揺れ | この文書内で、同じ語が複数の異なった表記で現れています。単語自体は間違いではありませんが、ひとつの文章中で表記が揺れていると、不統一とされることがあります。 |
揺らぎ(カタカナ) | 音がよく似たカタカナ語が複数使われています。 例 : コンピュータ コンピューター |
揺らぎ(送り仮名) | 同じ語に対して複数の送り仮名が使われています。 例 : 受け付ける 受付ける |
揺らぎ(漢字/仮名) | 同じ語に対して漢字と仮名が使われています。 例 : ゆれる 揺れる |
揺らぎ(数字) | 同じ数字に対して洋数字と漢数字の表記が混在しています。ただし、「10年」と「十回」のように数詞接尾辞が異なる場合には、揺らぎではないとしています。 例 : 25歳 二十五歳 |
揺らぎ(全角/半角) | 同じアルファベット列に対して全角と半角の表記が混在しています。 例 : Word Word |
表記の基準 | |
漢字レベル | 使用漢字に制限がある場合には、常用漢字または教育漢字の何年生を指定して使用します。 |
常用漢字外の読み | 常用漢字表にない読みで、漢字が使われています。 |
送り仮名の誤り | 送り仮名の誤りをチェックします。「送り仮名の付け方」(昭和48年、内閣告示)による「本則」「許容」以外の送り仮名を「誤り」として扱っています。 |
送り仮名の基準 |
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仮名書き推奨 |
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文体 | 「です・ます」体、あるいは「だ・である」体に統一したい場合に使用します。 |
カタカナ設定 | すべてのカタカナを全角、あるいは半角に統一したい場合に使用します。 |
英文字設定 | すべての英文字を全角、あるいは半角に統一したい場合に使用します。 |
句点設定 | すべての句点を「。」、あるいは「.」に統一したい場合に使用します。 |
読点設定 | すべての読点を「、」、あるいは「,」に統一したい場合に使用します。 |
商標・商品名 | 一般名詞と勘違いされやすい商標・商品名をチェックします。 |
すべて元に戻すには
[文法設定]ダイアログボックスの[すべて戻す]ボタンをクリックすると、初期の状態に戻ります。
※執筆環境:Microsoft Word for Mac バージョン 15.13.1